どうしようもなく、遠くへ行きたくなりました。
理由はうまく説明できないけれど、このまま同じ場所にいるのが少し苦しくて、
2025年4月末から5月はじめにかけて、車で静岡まで行こうと決めました。
結果的には時間が足りず、長野県まで行って戻る旅になりましたが、
それでも、家を出た瞬間は少し気持ちが軽くなったのを覚えています。
今回は下道を使い、景色を眺めながら、ひとりでゆっくり進むことにしました。
急ぐ理由はどこにもなくて、ただ走る時間そのものを味わいたかったのだと思います。
まず向かったのは、出雲大社のある島根県です。
「せっかくなら、ちゃんと寄り道をしよう」
ハンドルを握りながら、そんなふうに自分に言い聞かせていました。
山口の海が、思っていた以上にきれいでした。
視界いっぱいに広がる青を見た瞬間、胸がぎゅっとなって、
理由もわからないまま、静かに涙が出ました。
誰もいない車内だったので、そのまま泣いて、そのまま走り続けました。
長距離になるため、途中の道の駅で唐揚げ定食を食べました。
揚げたての音や匂いが、妙に現実に引き戻してくれて、
ひとりで黙々と食べるごはんが、思っていた以上に心にしみました。

休憩を挟みながら走り、出雲大社に着いたのは17時過ぎでした。
お店はほとんど閉まっていましたが、境内を歩き、御朱印をいただきました。
初めての出雲大社は、
観光地というより、ただ静かに受け入れてもらえる場所、という感じがしました。
澄んだ空気の中を歩いているうちに、張りつめていたものが
少しずつ、ほどけていくのを感じました。
1時間ほど散策したあと、近くの道の駅へ移動しました。
慣れない長距離運転で、体は正直、かなり疲れていました。

その日は道の駅で車中泊をさせていただき、
知人に一通り連絡をしてから、横になりました。
横になった瞬間、ほっとして、そのまま眠りに落ちました。

自宅を出たのは6時30分。
下道で山陰道を通りながら、迷いながらも、ただ前に進んだ1日でした。
「今なら引き返せるかもしれない」
そんな考えが何度も頭をよぎりましたが、
それでも走り続けたのは、ここでやめたくなかったからだと思います。
ひとりで、ここまで来られたこと。
その事実が、あとからじんわりとうれしくなりました。
明日は鳥取砂丘を歩き、道の駅に寄りながら、岐阜を目指す予定です。
――次に続きます。











